「月20万、いるだけの『ゆるブラック』仕事」では、この先つらいと思った話

先日、仕事で調べものをしていたら、おもしろいものを見つけた。

(出典:Yahoo!知恵袋)

うわぁ…といった感じで、なんとも言葉にならなかったが、こんなツイートをした。

この「月20万、ボーナスあり事務職さんの働き方」どう考えるか。
このツイートには賛否両論、いろいろな意見をいただいた。

まず、「こんな働き方ではつらいよね」というもの。

また、「辞めたくても、おいしいだけに辞められない」というもの。

「ゆるブラック」という言葉があるのは、初めて知った。

他には、いや、逆に最高でしょというものまで。

「好きなことで生きていく」と、よく言われるようになった今の時代から逆行しているようで、これは少し考えたい。

なぜなら、わたしには、冒頭の事務職さんのような気持ちで仕事をしていたことがあり、それが「きつかった」という経験があるからだ。

わたしがラーメンチェーンで働いていた時のこと。
営業時間は、全店舗同じで11時から24時と長かったが、忙しいのは昼の12時~14時と夜の19時~22時だった。
それ以外はポツポツとしかお客さんが来ないので、1人で営業することも多く、何をするかといえば、掃除しかない。

  • トイレ掃除
  • ホールのゴミ拾い
  • エアコン清掃
  • 券売機の清掃
  • 食器洗い
  • 窓ふき

お客さんが来ないのでこれは1時間あれば、終わる。
すると、夜の締め作業をできるところまで前もってやってしまうしかない。

正直、お客さんのために、とか、将来店を持ちたいから、という気持ちがなかった。
だから、早く帰るために夜やることを夕方に終わらせたり、間延びした時間を埋め合わせるように掃除したりするだけの毎日になっていた。

1人営業も多かったので、スマホをいじることもできたが、何となくコソコソするのも嫌で、店の隅々まで掃除をするしかなかった。
もちろん仕事では楽しいこともあったが、これを1人で繰り返すうちに冒頭の事務職さんのような気持ちになっていたのである。(正直、ため息出ますよね)

また、妻から聞いたことだが、地方銀行の総合職もなかなか「きつい」仕事だったとのこと。

妻は、わたしと結婚するまで地銀で総合職をしていたが、「とにかく辞めたくて辞めたくて仕方がなかった」と言う。
仕事は「自分だったら買わない金融商品の営業」ばかりだったそう。

遅くまで働いて、一人帰宅し「私、何やってんだろ」と自問自答する毎日だったとのことだ。

妻は、今は保育士として働いているが、もちろん給料は銀行員当時よりも低い。
しかし、毎日イキイキとしているところを見ると、イヤなことを続けるというのがどれほどストレスなのかがわかる。

話は変わるが、最近、「好きなことを仕事に」というのを、頻繁に耳にするようになった。

わたしがその言葉を知ったのは、ヒカキンの動画だったと思う。

(HIKAKIN「好きなことで、生きていく」YouTube Japan 公式チャンネル、2014年10月2日)

それ以降も多くのインフルエンサーが「好きなことを仕事に」と発信しており、相当定着した感じがある。

インフルエンサー以外、一般の人のツイートも、よく目にするようになった。

はくしょん大魔王まで。。。

ただし、「好きなことを仕事に」というのは、そんなに簡単なことではない。
仕事にできるというのは、誰かの需要があるということで、「ただ好きだ」という趣味などとは別物だからだ。

しかし、「好きなことを仕事に」した方が幸せになれる可能性は高くなっている。
これからの時代は「働く期間が長くなる」からだ。

人生が短かった時代は、「教育→仕事→引退」という古い3ステージの生き方で問題なかった。しかし、寿命が延びれば、二番目の「仕事」のステージが長くなる。引退年齢が70~80歳になり、長い期間働くようになるのである。

(出典:リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット「ライフ・シフト」東洋経済新報社、2016年11月3日出版)

これまで以上に長い時間を費やし、人間関係や経験値など、引退後の生活にもさらに大きく影響するようになる。
仕事が「イヤなこと」か「好きなこと」かというのは、これまで以上に重要になるはずだ。

では、どうすれば、「好きなことを仕事に」選べるのか。
それは、何が自分の幸せかを心の底から理解し、ただただそれを追求すればいい。

「審査され、評価される」という外発的動機づけよりも、自分がつくりたいものをつくるという内発的動機づけのほうが創造的なアイデアが生まれやすい。
(中略)
人は自分の幸せを求めて行動しているときほど直観が鋭くなるということ。ただ、何をもって「幸せ」とするかはその人次第。ここでいう幸せとは「主観的な幸せ」という意味です。

(出典:メンタリスト DaiGo「直観力」リベラル社、2017年3月25日出版)

人は、生きていく上では、いつでも自らの価値観に基づき、自分で考え、行動し、自分で評価するという「主体性」が必要だ。

衝動を抑え、価値観に従って行動する能力こそが主体的な人の本質である。反応的な人は、その時どきの感情や状況、条件づけ、自分を取り巻く環境に影響を受ける。主体的な人は、深く考えて選択し、自分の内面にある価値観で自分をコントロールできるのである。

(出典:スティーブン・R・コヴィー「7つの習慣 人格主義の回復」キングベアー出版、2013年8月30日出版)

もちろん人生は仕事だけではない。
「仕事以外を充実させることができれば、仕事はほどほどで」という人もいるだろう。

ただし、繰り返しになるが、大事なのは今後、働く期間がさらに長くなっていくということだ。
さらに、今の仕事や会社が、この変化の激しい社会の中で生き残っていけるかどうかはわからない。

だからこそ、「好きなこと」でなければ、仕事して長く続けられないし、熱中して将来にも活きるスキルを身につけられないのである。
仕事はやはり、「好き」な方がいい。

最後に、「月20万、ボーナスあり事務職さんの働き方」について総括するツイートを紹介して終わりにしたい。

ライター
めんおう

専業ライター。大学卒業後、防衛省にて10年勤め、民間企業を経てフリーランスへ転向。ネット、働き方、英語、取材などを中心に書いています。クライアント様の伝えたいことを、万策をもってお伝えします。
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