狭小ワンルームでも出来る!最強の自炊ノウハウ!

 人生において「節約」はとても大事です。支出が減れば自由に使えるお金は増えますし、貯蓄も捗るというもの。そして、数ある節約ノウハウの中でも最も効果が高いものの一つが「自炊」だと言えます。

しかし、この「自炊」というのは決して簡単なものではありません、特に独り暮らしのみなさんにとってはとても難しい。。というのも、一般的なワンルームの部屋における調理設備というのは、いいところガスコンロが1つに小さなシンクが一つ。この極めて限定された設備で自炊をコンスタントに行うというのは、実は飲食のプロであってもそれなりに難しいものなのです。

更に、一人暮らしの自炊はもう一つの困難がつきまといます。それは、「一人分の食事を作る」ということの不経済さです。千円分の食材をまとめて料理して、結局一食で全部食べてしまった。あるいは、後で食べようと残しておいたけれど腐らせてしまった。

こうなってしまうと、「外食した方が安い!」という悲しい結果になってしまう。

このような事態に陥らないための自炊ノウハウを本日はじっくり紹介させてください。僕の飲食業経験―殺人的に狭いキッチンで大量の料理を作るというのが東京の飲食店の現実―から学んだ自炊テクニック、あなたの参考になれば幸いです。

1.調理の効率は熱源の数で決まる!熱源を増やせ!

第一の追加熱源 炊飯器調理

 いきなり大問題です。大抵の料理には「加熱」という工程が必要ですが、一般的な独り暮らしのお部屋に熱源は1個しかありません。つまり、おかずを二つに味噌汁を作ろうと思ったら、鍋三つを一つの熱源で加熱しなければならないのです。野菜を炒めて、肉を焼いて、みそ汁を作る、この三つの工程を順番にやってしまったら、みそ汁が出来る頃には野菜炒めは冷めきっているでしょう。これはどう考えてもいけない。時間効率も悪すぎる。単純計算で3倍かかってしまうわけです。

ここで第一のハックです。「熱源」を増やしましょう。

かといって、ガスコンロを増やすというのは現実的ではありません。ポータブルコンロを置くスペースなど存在しないでしょう。なにより危険です。そこで、僕が第一にオススメするのは「調理用炊飯器」です。

誰もが持っているであろう炊飯器。あれは実は、お米を炊く以外の用途においてもこの上なく優秀な調理器具です。ありとあらゆる煮込み料理は炊飯器で作成可能だと言っても過言ではありません。そう、おかずの一品は炊飯器で作ればいいのです!

お米を炊く炊飯器はそれなりの性能が求められます。僕も最近ちょっと良い炊飯器を買って「しまった、ここまで味の差が出るならもっと早く良いものを買っておけばよかった」と後悔したのですが、この調理用炊飯器は一番安いもので全く構いません。リサイクルショップなんかで捨て値売りされているもので十分です。

そして、炊飯器調理のメリットは「見張る必要がない」ということです。保温にしておけば吹きこぼれることも、焦げ付くこともありません。そして、この保温の温度帯は最高に味が染みるのです。

そういうわけで論より証拠。作ってみましょう。

豚バラ肉を適当にカットして、ゆで卵と一緒に煮ましょう。風味付けは生姜と八角。

醤油、酒、砂糖1:1:2で加え、同量の水を加えましょう。全体がかぶらなくてもOK。調理途中で開けてひっくり返してやればいいだけです。煮汁を増やせば増やすほど、肉のうまみは薄くなるので少な目を意識しましょう。この調味料バランスは様々な煮込み料理に応用できるので覚えておくと便利です。

炊飯ボタンをポチっと押して、炊き上がったらハイ完成。

あなたがどれほどの料理オンチでも、この角煮は絶対に失敗しません。安心してください。

さぁ、まずは炊飯器をもう一つ買いましょう。あらゆる煮込みは炊飯器で作れます。

第二、第三の追加熱源 電子レンジと電気ケトル調理

 一人暮らし料理といえば「パスタ」。カルボナーラ、ペペロンチーノ…安くて美味しい生活の味方ですよね。しかし、熱源が一つしかない場合「パスタを茹でながらソースが作れない」という悲しい事態が起こります。

パスタの茹で時間にソースを作れれば調理時間は半分以下になるというのに、まずはパスタソースを作ってから麺を茹でなければいけない。自炊は非効率だと本当にイヤになって来ます。解決しましょう。

 この問題を解決するアイテムとしてメジャーなのは電子レンジです。最近は電子レンジでパスタも茹でられるし、野菜の下茹でなんかも基本的には出来ます。とうもろこしなんかは皮付きのまま電子レンジで加熱するといい具合に仕上がりますね。しかし、「茹でる鍋が欲しい!」という需要ってありますよね。

そこは電気ケトルです。イタリアンなどの飲食店には「茹で窯」と呼ばれる常時適温に沸かされた鍋があるのですが、ご家庭でそれに遜色ない性能を発揮してくれるのが電気ケトルと言えます。しかも、小さくてスペースを食いません。火も出ないので危険も少ない。

ひとつの熱源でパスタソースを作り、電気ケトルで麺を茹でる。あるいは野菜の下茹でもそこで済ませてしまう。スープだって作れてしまいます。これは使わない手はないでしょう。電気ケトルといえばコーヒーやお茶のためのお湯を沸かすアイテムという印象が強いでしょうが、実際のところ「湯を沸かす」だけなら熱源はガスで十分。

簡便な加熱調理機と考えた時、電気ケトルは最高の便利さを発揮してくれます。

論より証拠。作ってみましょう。

セイヤ!(このタイプの広口ケトルが手を突っ込んで洗えるので便利)

よし全部入った。

その間にアンチョビとオリーブオイルでソースを作ります。ニンニクを低温でじっくりきつね色にして香りを出し、アンチョビを入れるだけ。適宜塩で整えましょう。

彩りが欲しいな。小松菜茹でるか。(パスタの上にさらに放りこんでいます)

フライパンに合流して…。

ヘイ、小松菜とアンチョビのオイルソースパスタ完成!所要時間10分也!

これがコンロ一つだと、ソースを作って麺を茹でてとなんだかんだ20分になってしまう。自炊は効率です。この差は大きいですよ。

ちなみに、これは先ほどの角煮のゆで卵を作っているところです。

こんな風にも使えます。ちょっと熱源が足りない、そんなときにとても便利。

おまけのケトルスープ

やっぱ汁物って欲しいじゃないですか。これは冷蔵庫に転がっていた、ナス、トマト、ネギを適当にカットしてケトルに放り込み、コンソメを適当にぶちこんだスープです。

コンロが一つしかないキッチンで「メインを作ったら汁ものが作れない」というお悩みはこれで永久解決。

野菜スープが美味しいなんて、今更言うまでもないことですよね。もちろんみそ汁だって作れてしまう。不足しがちな野菜はこれで解決してしまいます。

最後に、大人の事情で付け加える文言ですが、「調理用ケトル」というきちんとした商品も発売されていますので、正しい大人はそちらを購入しましょう。ケトル調理はメーカー推奨の使い方ではありません。Amazon見たらわかるけど、調理用ケトルはすごく安いし保温機能とかついてるよ。買おう。まぁ…、僕は電気ケトルで困ったことがないけれど…。

2.それでも面倒なら!全部炊飯器に突っ込んでしまえ、ぶちこみめし!

ここまで読んで、「めんどくせえなぁ…」という気持ちになってしまったみなさんもきっといるでしょう。そう、調理そのものが苦手だし、そもそも調理スキルがないからそれを習得するのもめんどくさい。そんなみなさまに紹介する最終兵器がこの「ぶちこみめし」です。

このぶちこみめし、調理方法は極めて簡単。炊飯器にお米と具を入れて、スイッチをオン。それだけで炊き込みご飯が出来上がるという寸法です。なんだ、ただの炊き込みご飯に大げさなと思われたかもしれません、しかし「炊飯器一つで栄養バランスを完璧にする」が可能になるこの炊飯器ぶちこみめしは、一人暮らしの料理において圧倒的な利便性を誇ります。

一人暮らしでサンマを食うぞ!

そろそろ夏も終わってサンマの季節になりますね。

サンマの塩焼きは大変な美味ですが、一人暮らしでサンマを食べるのはとても難しい。

煙も出ますし、そもそも魚焼きグリルが存在しない場合が大多数でしょう。しかし、炊飯器にぶちこんでしまえば調理の難しいサンマも美味しく食べることができます。

では、作ってみましょう。

最初に軽く焼いてやると味が一層よくなります。魚焼きグリルがない皆さんは、このアルミホイルを敷く方式を試してみましょう。めんどくさければ別にダイレクトでもいいです。焼き上げるのではなく、香ばしさで生臭みを取るのがメインなので。バラバラに砕け散っても気持ちの問題以外は特にありません。。

ちなみに、この工程は新鮮なサンマなら無視してもOKです。今日はサンマの鮮度がイマイチだったので…。

う…案の定ちょっと失敗した…。でもこの料理ならこの程度で全然OK。

ご飯2合の上に昆布(なければ味の素をファサっと…)、ダシパック(顆粒ダシもOK)を加え、炊飯器スイッチをON.

炊き上がったら中骨を取り除いて、全体にサンマを混ぜ込んで…。

お好みの薬味を乗せて出来上がり。これはミョウガを乗せていますが、シソでもいいしショウガの千切りでもいいし、ネギも悪くありません。

このサンマのレシピの応用でもちろんお肉の炊き込みご飯も可能です。味付けは全く同じ、調理法も全く同じで、美味しい鶏や豚の炊き込みご飯が作れますよ!カレールーを1カケ入れてなんちゃってドライカレーなんかもいいですね。

「なんだかんだめんどくさいじゃないか!」と言いたいみなさん。

これね…実はサンマとかサバの缶詰でも美味しく作れちゃうんだ…。ほら、でもそれはちょっと絵面が弱いから…撮れ高大事だから…。

そしてタッパを10個買え!

そして最後にぶちこみめしの最大のメリットは「冷凍できる」ということです。余ったら、タッパに放り込んで冷凍庫へ。レンジで温めればいつでも暖かな炊き込みご飯が食べられます。タッパは是非10個くらいは用意しておきましょう。暇なときに作り置きをしておいて、今日はどれを食べようかなと悩むのも大変にオツなものです。一人で食べるなら、タッパからそのまま食べてしまえばいいですし、洗い物も最低限で済みます。とても便利ですよ。

「作り置きの冷凍保存」というあれは、意外と「解凍が面倒で食べない」とか「味が落ちて食べる気がしない」というあれが発生しがちです。しかし、炊き込みご飯ならば味の劣化は最低限で済みますし、「とにかく一個チンすれば食える」というレーションの自作みたいなゲーム性はなかなか楽しいものがあります。これも凝っていくとなかなか奥が深いのですよ。

独り暮らしにおける自炊はとても難しい。

しかし、これらのテクニックを駆使すれば、どんな狭い部屋でも豊かな自炊ライフは可能です。僕もかつては12平米のワンルームで自炊生活を送っておりました。

これまでたった一つの熱源でジャグリングみたいな調理をしていたみなさんにとって、このライフハックによる効率化は結構衝撃的ですよ。是非試してみてください。

豊かな食事と節約を楽しみましょう!

やっていきましょう!

この文章を書いた人↓借金玉

1985年生まれ。診断はADHD(注意欠如・多動症)の発達障害者。幼少期から社会適応ができず、紆余曲折を経て早稲田大学を卒業後、金融機関に就職。まったく仕事ができず逃走した後、一発逆転を狙って起業。一時は調子に乗るも大失敗し、それから1年かけて「うつの底」を脱出。現在は営業マンとして働く。著書に『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』。
ブログ:発達障害就労日誌
Twitter:@syakkin_dama

イラストを描いた人↓ハルオサン

 

18歳で警察官をクビになり日雇い労働・特殊清掃・労働マルチなどをブラック企業を渡り歩き、仕事中の大怪我で体が不自由になったことからヤケクソでブログを書き始めたことで、漫画やコラムを書いて生計を立てるようになる。
ブログ:警察官クビになってからブログ
Twitter:@keikubi123